今回のテーマは、日本企業の多くが新人教育に重点を置かないことに関する警告です。
転職を繰り返してきて思いますが、新人教育がきっちり行われている企業は、決まって経営がうまくいっています。
新人としての経験が長い私ですが、これだけは断言できますね。
というのも、新人に対する教育がきちんとなされていることで、一番大きなリスクをヘッジしやすくなるからです。
それは、社員の自主退職を未然に防げることです。
順をおって話していきますね。
まず、そもそも人的資源において、もっとも最悪なパターンとはなんでしょうか。
「社員が思うように育たない?」
「新入社員とそりが合わない?」
いいえ、違います。
最も最悪な事態は、社員が辞めることですね。社員がひとり抜けると、その人が抱えていた仕事は、そのまま残った人が分担して急場をしのぐことになります。
単純に、職場の人間にかかる負担が増えてしまうんですよね。
ひとり、ふたりならまだしも、それが何人、何十人単位で起きると、負担増の問題ではすまなくなってきます。
一から組織を再編するつもりでないと、対処しきれなくなるでしょう。
人事経験のある方ならわかるでしょうが、人的資源を移動させるのって、ものすごい緻密な計算と計画に基づいてでないと、到底ですがやれるものではありません。
人的資源の量の低下は、組織を根幹から揺るがすファクターとなりうるのです。
このように、人的資源を強化(教育することと言い換えてもよいでしょう)することをないがしろにすることは、デメリットしかないのに、
日本企業は軽視してしまうのでしょうか。
私が思うに、
プレイヤーとしての実績さえあれば、オールオッケーとみなされてきたからです。
今の会社での、出世ルートを実際にイメージしてください。
個々の成績が抜きんでている人材が管理職に抜擢され、上の地位につく構図が色濃く残っているはずです。
「名選手は必ずしも名監督ではない」とはよく言われますが、実際は、プレイヤーとしての実績だけでマネージャーもこなせるだろうとみなされてしまいます。
では、なぜ名選手=名監督であるとみなされてしまうのかについては、後日考察します。